• 連載
  • 2014-11-05

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身近にあるイノベーション


【第3回】顧客を知ったうえで、サプライチェーンを攻略する

ヨドバシカメラが1999年に導入した新しいサプライチェーンマネジメントは下記のようなものです。

YodobashiSCM

ここで見ていただきたい点は2つです。一つ目は、左上の商談のところ。毎週の商談のたびに、SCM管理対象商品(売上の90%を占める売れ筋商品)について、先13週間分の販売計画をヨドバシからメーカーに提示します。単に13週間先の計画をピンポイントで出すのではなく、毎週毎週計画数値がローリングされていきます。そして4週間前に、4週間先の1週間分を確定発注します。約1か月先の納入分を1週間分買い取るというのは、この業界ではありえないことでした。この4週間前に確定発注して買い取るというやり方で、ヨドバシはメーカーに対して強い価格交渉力を持ち、安く仕入れることが可能になります。メーカー側からすると4週間前に個数を確定して発注してもらえることで生産計画は非常に楽になります。また同時に、その商人に対するヨドバシでの販売計画を13週前から毎週提供してもらえることで市場での販売総数の予測もしやすくなります。

前回。薄利多売の量販店のような小売形態に置いては、いかに安く仕入れ、いかに高く売るか重要と書きました。通常は安く仕入れるには、たくさん売る会社が価格交渉力を持ちます。たくさん買うほど安い値段になるわけですが、ヨドバシは単なる量の勝負ではなく、質の高い情報を提供することを武器に、自分たちに有利な仕入れ価格を引き出しているといえます。
このように、POSによる販売情報とポイントカードによる顧客情報とを結び付けて個客管理をすることで顧客の購買動向を捉え、精度の高い販売予測をすることができます。これらの顧客データ・購買データが「売り切る」力になり、かつ「安く仕入れる」力にもなっているわけです。ビッグデータやアナリティックスがもてはやされるようになったのはここ2,3年ですが、ヨドバシカメラは10年以上も前から、これらのデータの力に気づき、活用していたことが読み取れます。これはヨドバシカメラの収益性の高さの秘密といえます。

この当時でヨドバシカメラのポイントカードの発行数はすでに1000万枚以上、リピート率は90%を超えています。
この後同業各社はもとより、コンビニエンスストアなどがポイントカード発行に乗り出していったのがうなずけます。

また単にポイントカードだけではなく
- 顧客とその購買動向をPOSとポイントカードで捉える。、
- その上で顧客のニーズに応えるべく53万品目もの品揃えをし、最長12日で売り切る。
- 13週間分の販売計画データと4週間前の確定発注を武器に仕入価格を低く抑える。
これらの仕組みを結び付け有機的に動かすことで相乗効果をあげています。

この裏にはヨドバシカメラが非上場企業であることで、非常に意思決定が速く、迅速に戦略的なアクションを取り続けていたこともあげられます。
2002年にすでに先駆けて顧客情報を活用していたヨドバシカメラ、では今は?
次回はそれ以降の量販店についてみてみましょう。


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