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  • 2014-10-30

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身近にあるイノベーション


【第1回】ヨドバシカメラの強さはどこにあるか

はじめまして。保々といいます。IT企業でウン十年働くかたわら、イノベーションやビジネスモデルに興味を持ち、教鞭をとるようになりました。
これから、みなさんの身近にあるイノベーションについていろいろつぶやいていきたいと思っています。よろしくお願いします。

みなさんの財布の中に「ポイントカード」と呼ばれるものは何枚入っているでしょうか?類似のものとしては航空会社のマイレージカードがありますが、日本でポイントカードを最初に始めたのはどこかご存知ですか?
答えはヨドバシカメラ。

みなさんも1枚お持ちでしょうか?私は1990年代後半、仕事でお付き合いしたのをきっかけに、ヨドバシカメラのビジネスモデルにとても興味を持ち、研究を始めました。「家電量販店」とひとくくりにされ、言ってみれば薄利多売がすべてのようなこの業界、どうしてヨドバシカメラがそんなに面白くユニークなのかを今日はお話ししたいと思います。

ヨドバシカメラがポイントカードを発行したのは1989年です。ポイントやスタンプカードのサービスを始めていたところはほかにもあったかもしれませんが、ヨドバシは初期に始めた企業のひとつ、そしてもっとも大事な点は、バーコードリーダーを使うことによって、POS(Point of Sales)と一体化したポイントサービスを日本で最初に始めた企業だということです。
レジ業務の効率化を図るために、POSシステムを導入している企業は多くありましたが、これとポイントカードを連携させることで、誰が(どこに住む何歳の誰が)、何をどこでいつ買ったのかが把握できるようになりました。これによってヨドバシは顧客を一人一人個人として管理する「個」客管理ができるようになったのです。

今この文章を読んでいる若いみなさんは、(そんなこと、当たり前じゃん)と思っているかもしれません。しかし1989年には、TポイントもナナコもPontaもなかったのです。JALもANAも日本においてはまだマイレージカードの発行をしていませんでした。インターネットも普及していなかったこの時代に先行投資をしてこの仕組みを作ったヨドバシカメラ、まさに戦略的投資といえます。

さて、私がヨドバシの研究を始めたのは2002年からなのですが、当時の家電量販店の売上を見てみましょう。

電機業界のランキング
(出典:日経MJ(日経流通新聞)2002年度日本の小売業調査)

ここで、一つお断りしておかなくてはいけないのは、ヨドバシカメラは非上場会社であり、この時点では経常利益を公開しておらず調査では税引前利益のみが開示されていましたので、その比較になっています。

さて、この一覧を見てみなさんは何を思われますか?
注目すべき点の一つ目は、1位のヤマダ電機と2位のヨドバシカメラとを比べると、売上高ではヤマダがヨドバシの約1.5倍ですが、税引前利益では逆にヨドバシがヤマダの1.5倍となっています。すなわち利益率ではヨドバシの方が倍近く高いということです。3位以下の各社を比べてみても、ヨドバシのこの数値が異常値であることがはっきりします。薄利多売を旨としている家電量販店、同じようなビジネスをしていれば、売上高の多い方がスケールメリットで安く仕入れられるので有利なはず。2位のヨドバシはどうしてこんなに高利益なのでしょうか?
そして、二つ目。一つ目にも関係するのですが、社員数を見ると、ヨドバシはヤマダの3分の1以下。この辺りにも違いがありそうです。

この数字だけ見ても、ヨドバシが業界の中で異質であるということが見て取れると思います。
これだけ高い業績を上げているヨドバシの秘密を次回から詳しくお話ししていきたいと思います。最初は2002年ですが、現在までを追いかけていきます。


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