• データマーケティング
  • 2014-10-09

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観光客業のおもてなしに関するデータマーケティング

2008年に観光庁が発足以来、国を挙げての観光立国化の背景がある。さらに、日本の文化的背景を生かした主に日本国外からの観光客に対するサービスの特長として、おもてなしの心を反映することがある。本稿では、観光業において、現在も今後もますます重要になる「おもてなし」のサービスにおけるデータマーケティングへの応用を取り上げる。なお、本稿では、おもてなしのデータマーケティングへの適用により、ICTへの反映での総合サービスレベルの向上と、定量化データを用いた人材教育への応用で、観光業界にメリットをもたらすのものと考える。加えて、様相が異なるデータの取り扱いに関して、合わせ技が必要と考えられるので、それについても言及する。

1.基本となるのはサービスの事前の期待価値の定義の仕方

おもてなしを考えるに当たって、基本となる考え方というのは、お客様の事前の期待価値を上回るサービスの提供である。そこでまず必要となるのが、事前の期待価値をどう定義するかということである。お客様の人特性に属する事前期待を考えると、そのお客様がどういった文化背景にあるのかによっても、期待しているサービスの種類が異なるし、加えて重視する価値の種類が一種類とは限らない。このことを決定するには、サービスの受け手の類型化の蓄積が必要となり、大規模なデータからの抽象化のプロセスが事前に行われている必要がある。

次に、そのデータを用いて期待価値をどう計算するかの段階になるが、その次元数および採用値(最大値、最小値、平均など)による期待価値の定義を行う必要が生じている。なお、この定義は、次元数と採用値の組間での比較検討は一意ではないため、決定に関してはサービス提供側の裁量が入ることになる。

上記は、事前期待を便宜上、文化背景から来る固有性に着目した分類に当てはめたものとなっており、統計的な処理で推定可能なものである。一方、サービスの評価として、おもてなし特有の、場・時・人の要素を取り入れる必要がある。「人」に関しては、一見客かリピーター客かの分類が可能であり、リピーターの場合は過去のそのお客様固有の評価基準および評価法が加わることになる。なお、この決定では個人情報と数が揃わない「観察のメモ」程度の少ない情報からの推定となり、客観データが少ない分、サービス提供側の裁量が大きくなる。なお、この観察の一つとして、行動観察があり、この基準の選定についてもサービス提供側の裁量である。

以上、サービスを受ける前段階でのお客様の人属性に関して議論した。次節では、サービスを直前に着目した、時と場、およびサービス提供価値について述べる。

2.直前時の事前期待の確定と、サービス可能キャパシティからそれを上回るサービス価値の提供

前節でのお客様の人特性を引き継ぎつつ、サービスを受ける直前時の「時と場」の状況により、サービスを受ける直前の事前期待が確定する。この「時と場」に関する事前価値は、厳密には、そのお客様が直接意見表明しないしない限り、判明しないものである。全ての場合で意見表明があるわけではないので、サービス提供側が過去のお客様から好評であった種類の中から選択することになる。その実体験を通じて、サービスの提供者側の実績・ノウハウと関連したものとなりえる。なお、観光業を想定する場合、この「時と場」に関しては、旅行の今までの日程、これからの日程、人数構成など、一時ではない広い脈絡を含む。

次に、サービス提供側のサービスを考える。この場合、実はサービス提供側がどんな体制で、事前期待と比較してキャパシティとしてどこまでできるのか、また実績としてどこまでできたのかを多段的にデータとして記録、管理していくのが、再現性とサービス品質の向上、さらには、「おもてなし」の文化継承のカギとなるのでないかと考える。

3.その後の評価可視による改善サイクル

ところで、サービスの性質として、目に見えない無形性、時・主体によって品質が変わる変動性、生産と同時に消費される消費性、保存ができない消滅性などがある。観光業を想定したおもてなしのサービスでは、長い前後関係を見越した「消費時の変動」の性質に依存するところが評価の上では大きい。データマーケティングを活用することで、データ化による「保存」により、次の「消費」時の再現性およびサービス品質の向上を図ることに十分寄与できていくと考える。

参考
・安宅和人(2014)「ビッグデータvs. 行動観察データ:どちらが顧客インサイトを得られるのか」,『ハーバード・ビジネス・レビュー』2014年8月号,ダイヤモンド社


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