• データマーケティング
  • 2016-02-12

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オムニチャネルについて説明できますか? オムニチャネルのはじまりから企業の戦略まで

“オムニチャネルについて教えてほしい”こう聞かれたとき、あなたはクライアントや社内へわかりやすく説明できますか?

セブン&アイ・ホールディングス、TSUTAYA、資生堂といった大手企業が取り入れている手法ですが、「イマイチどういったものかわからない」「どのような戦略で流通網を広げていけばいいかわからない」といった疑問や悩みが多いかと思います。

今回はそんなオムニチャネルについて、用語から今後の展望までをご紹介します。オムニチャネルの相談を受けている、提案したいが参考事例がない、そもそもオムニチャネルについてわからない…といった方々は参考にしてみてください。

1.オムニチャネルとはどんなもの?

オムニチャネルとはどんなもの?

みなさんは「オムニチャネル」という言葉を聞いたことはあるでしょうか? 日本ではまだあまり馴染みのない言葉ではありますが、これは海外から入ってきた言葉で、現在、日本でも少しずつ浸透しつつあります。

1―1 「オムニチャネル」の意味とは?

「オムニチャネル」は英語で「Omni channel」と書きます。別名として、「オムニチャンネル」や「オムニチャネルリテイリング」などとも呼ばれることがあります。

また、「オムニチャネル」の「オムニ」には「すべての」・「あらゆる」という意味が、「チャネル」には「経路」・「ルート」という意味があります。

1―2 「オムニチャネル」の「チャネル」にはどのようなものがある?

「オムニチャネル」の「チャネル」に該当するものの一部例として、下記が挙げられます。

  • 実店舗
  • カタログ通販
  • テレビ通販
  • マスメディア
  • 屋外広告
  • ダイレクトメール

≪インターネットを介したものとしては……≫

  • 通販サイト、自社サイトなどのオンラインストア
  • コーポレートサイト
  • ファンサイト
  • SNSなどのソーシャルメディア

このように「チャネル」にはさまざまな種類が存在しています。

1―3 「オムニチャネル」の特徴とは?

「オムニチャネル」には下記3つの特徴が見られます。

  • すべての販売チャネルでの在庫情報を統合すること。
  • すべての販売チャネルでの消費者の会員IDの統合をすること。
  • すべての販売チャネルの物流を統合すること。

上記により、あらゆる(オムニ)商品をさまざまな販売経路(チャネル)から購入することができる環境を作り出し、しかも、すべてのチャネルのサービス内容やオペレーション、データ管理まで統合した上で、消費者の欲しい商品を提供する特徴のあるサービスのことを「オムニチャネル」と言います。

これら3つが可能になった時、はじめて購入者が複数のサービスを違和感なく、利用することができるようになるのです。

2. 「オムニチャネル」のはじまりとは?

「オムニチャネル」のはじまりとは?

オムニチャネルが広く認識されるようになったきっかけは、2011年にアメリカの百貨店「Macy’s (メイシーズ)」が発表したオムニチャネル宣言と考えられています。

2―1 「オムニチャネル」が知られるようになったきっかけとは?

アメリカの多くの百貨店は、オンラインの専業通販市場の成長によるショールーム化の進行などにより、長期間に渡って、営業不振に悩まされてきていました。そんな中で、メイシーズは膨大なシステムへの投資により、下記の対策を実施しました。

  • 実店舗と自社のオンラインサイトの区別をなくすこと。
  • 実店舗と自社のオンラインサイトの在庫を統合すること。
  • 実店舗と自社のオンラインサイトの顧客情報を統合すること。

これらの対策を実施することにより、メイシーズはオムニチャネル化を進め、顧客のニーズの取りこぼしをなくすことに力を注いだのです。

その結果、

  • ブランド(企業)に対するロイヤル・カスタマー(他社ブランドの商品やサービスを購入せず、自社ブランドの商品・サービスなどを購入してくれる忠誠度の高い顧客)の増加。
  • グループ全体の在庫圧縮。
  • 実店舗の売場の効率化。

を実現し、今まで伸び悩んでいた会社の業績が飛躍的に改善したというのです。

2―2 「オムニチャネル」化を進めた方法とは?

では、メイシーズはどのように「オムニチャネル」化を進めていったのでしょうか?
主に下記3点を実施したと言われています。

≪店員はモバイル機器を携帯する≫
メリットは……

  • 商品の詳細やレビューを調べることができる。
  • ライバル店の価格と比較し、在庫情報を認識することができる。
  • 顧客のそばを離れずに、在庫の有無のチェックや取り寄せの注文をすることができる。

≪無線ICタグを採用する≫
メリットは……

  • 在庫の無駄を減らすことができる。
  • 実店舗とオンラインの在庫の一元管理をすることができる。
  • 実店舗に在庫がない商品をオンラインの在庫、または他店舗の在庫から顧客に直接配送することができる。

≪バックヤードを拡大する≫
メリットは……

  • 商品の発送準備がしやすくなる(実店舗でオンライン注文品の発送を行うため、発送準備の効率化が必要となるため)

こうしたさまざまな取り組みによって、メイシーズはオムニチャネル化を着実に進め、躍進することができました。

2―3 「オムニチャネル」化を進めるメイシーズの今後の目標とすでに取り組んでいることとは?

メイシーズはさらに「オムニチャネル」化を進めています。そして、今後もさらなる成長を手にするため、視野に入れていることがあります。それは下記の3点です

  • 現在より迅速な配送ができようになること。
  • 将来的には当日配送を可能にすること。
  • 商品の仕入れ原価や数量によって、販売経路や在庫場所を最適化すること。

これらを実施するためには多大なる努力が必要です。そのため、現在、メイシーズでは、いくつかの試みが始まっています。

  • 顧客がオンラインで買った商品を店舗で受け取ってもらうこと。
  • オンラインで商品の販売をしながらも、オンライン倉庫には在庫を置かずに、店舗のみで在庫を持つようにすること。

さまざまなチャネルの調整を行うことによって、「オムニチャネル」化を推進しています。そして、消費者にとってメリットがあるサービスを実施し、またメイシーズ自体も無駄を省くことによって、経費を抑えているのです。これは消費者にとっても、メイシーズにとっても良い傾向であると言えるでしょう。

3.日本における「オムニチャネル」とは?

日本における「オムニチャネル」とは?

では、現在、日本ではどのようなオムニチャネルが始まっているのでしょうか?
実は身近なところで、すでに日本の「オムニチャネル」化は始まっているのです。

3-1 「オムニチャネル」を推進するセブン&アイホールディングスの取り組みとは?

日本で始まっているオムニチャネルのわかりやすい例として、最近、テレビCMやメールマガジン、実店舗などでよく目にするようになった「Omni7」というセブン&アイホールディングスが開始したサービスがあります。
現在、「Omni7」に参加している企業は下記の通りです。

  • セブンネットショッピング
  • 西武・そごうのeデパート
  • イトーヨーカドーネット通販
  • アカチャンホンポネット通販
  • ロフトネットストア
  • セブンミール
  • イトーヨーカドーネットスーパー
  • デニーズサイト
  • セブン旅ネット

このようにコンビニエンスストアや百貨店、スーパー、専門店など種類の異なるセブン&アイホールディングスのグループ企業のチャネルが統合することにより、約180万品目もあるあらゆる商品を消費者の生活スタイルに合わせて、消費者がチャネルを選択して購入することが可能になったのです。

3-2 セブン&アイホールディングスの「オムニチャネル」化への経緯とは?

では、セブン&アイホールディングスはどのように「オムニチャネル」化を進めていくことになったのでしょうか?

セブン&アイホールディングスは、2014年度にグループ全体で「オムニチャネル」に取り組むこと、また事業会社単位で担う個別課題を明確化しました。
これにより、グループ各社のトップが推進体制を構築したのです。その際、立ち上げられた5つのプロジェクトがあるのですが、それが下記の5つになります。

  • 商品
  • 店舗サービス
  • 物流
  • 会員ポイントカード
  • ネットサービス

こうして、それぞれのプロジェクトは店舗の商品やサービスと連携し、「上質で新しく価値ある商品開発」と「システム基盤の強化」の両面から「セブン&アイのオムニチャネル」の具体像を描き出していったのです。

3-3 セブン&アイホールディングスの「オムニチャネル」化で重視していることとは?

セブン&アイホールディングスがオムニチャネルの取り組みで最も重視している点は、実店舗での商品やサービスの提供を支えている情報システムなどの既存のシステムと、オムニチャネルのシステムを統合させることです。

これを実現すことにより、消費者が実店舗でもオンラインストアでも安心して、ストレスなく購入することが可能になります。

また、オムニチャネルのサービスの実施が開始されてからも、随時、サイトのデザインの見直しや顧客の利用状況の分析などを進めつつ、オムニチャネルのサービスに反映していき、より質の高いオムニチャネルを提供しようと努めているのです。

3―4 セブン&アイホールディングスが「オムニチャネル」を実施する際、工夫していることとは?

セブン&アイホールディングスが「オムニチャネル」を実施する際、工夫していることがあります。それはタブレットを使って、実店舗にはない商品を消費者にオススメすることができる仕組みを構築していることです。

その中でも、セブン‐イレブンでは、ご用聞きの宅配サービスを行っているのですが、販売担当者がタブレットを携行しており、オンラインストアをはじめ、インターネットに馴染みがない高齢者の方にも販売担当者がタブレットの操作などを手伝い、実店舗で取り扱いがなくて購入できない商品でも、オムニチャネルを介することにより購入してもらえるサービスを実施しています。

このようにセブン‐イレブンの実店舗で取り扱いがない商品でも、セブン&アイホールディングスのグループ企業である百貨店や専門店の商品やサービスが近くのセブン‐イレブンの店舗で購入できるようにするなど、商品やサービスをはじめ、販売方法や消費者の購入形式を良い意味で変化させられるようになったのです。

セブン&アイホールディングスがこのような工夫を含め、オムニチャネル化を実施することができるのは、グループ企業に多様な業態を持ち、グループ全体で実店舗を全国に約1万9,000店を持っているからこそだと考えられます。

また、セブン‐イレブンは「街の本屋」として、書籍・雑誌を幅広く取り扱っていますが、今後は化粧品や雑貨も、店頭のタブレットを利用して購入できるようにしていくことを視野に入れています。

3―5 セブン&アイホールディングスが「オムニチャネル」化を進めるために実施していることとは?

セブン&アイホールディングスでは、オンラインストアで発注した商品を全国に1万8,000店あるセブン‐イレブンやイトーヨーカドー、そごう・西武などで受け取りできるサービスを展開していますが、一部地域では化粧品や靴などの商品の発注や受け取りだけでなく、それらの商品の円滑な返品対応の実証実験の実施も始めています。

その他、オムニチャネルに関する取り組みを消費者に理解してもらえるように、情報発信を進めていくという計画もあり、グループ一体化のブランディングとイメージアップにも努めています。

この背景には、実店舗とオンラインストアの違いやコンビニエンスストアや百貨店、スーパー、専門店などの業態の違いなどを消費者が意識せず利用できることを目標にしていることが挙げられます。そのためにもシステムの整備が不可欠となるため、セブン&アイホールディングスはその点にも力を入れているのです。

また、セブン&アイホールディングスの2014年度の通販の売上は約1,600億円だったのに対し、「Omni7」のサービスを開始したことにより、2018年度までに1兆円の売り上げを目指しています。また、約600万品目を揃えることも目標としています。

このように日本でもオムニチャネルは推進され、消費者がより購買活動をしやすい環境が整いつつあるのです。

3―6 セブン&アイホールディングスが「オムニチャネル」を実施することにより、消費者にもたらされるメリットとは?

「オムニチャネル」が実施されることにより、消費者にはさまざまなメリットがあります。

  • 商品は全国のブンイレブンでいつでも受け取ることができる。
  • 店舗で受け取る場合は、手数料・送料が無料になる。
  • セブンイレブンで返品・返金ができる。
  • nanacoポイントを利用できる。

宅急便を利用していて困ることとしてよく挙げられるのが、商品を受け取ることがなかなかできないということです。仕事で深夜の帰宅になってしまう人にとっては、再配達を依頼することも難しい場合があるでしょう。

そうした消費者には、仕事帰りや会社の近くのセブン‐イレブンで、自分の都合のよい時間に荷物を受け取ることができるというサービスはメリットがあると言えます。

その他、帰省する際に大変なお土産の持ち運びでもこのサービスは利便性を発揮します。なぜなら、イトーヨーカドーや西武・そごうの店舗やオンラインストアで注文した後、お土産を実家の近くのセブンイレブンで受け取ることができるからです。

また、オンラインストアでの購入でしばしば利用がためらわれる理由の1つとして、手数料・送料の負担というのがあります。場合によっては、購入したものより、送料が高くなってしまうことがあります。ですが、店舗で受け取ればこのような問題は解決します。

それ以外の理由として挙げられるのは、オンラインストアで購入した際、商品を返品するのが面倒であるということです。仕事をしている人の場合、なかなか対応する時間を作れず、難しいことも多々あることでしょう。

オムニチャネルを利用している場合は、返品をとても簡単に行うことができるのです。なぜなら、「Omni7」の場合、商品に不備があった場合とお客様都合の返品の場合とでは、多少条件は異なりますが、基本的には商品受け取り後、8日以内にコールセンターに申し込み、受け取った店舗に商品を持っていくとその場で返品・返金をしてもらうことができます。

ただし、店舗での返金ができるのは、下記の条件を満たす場合のみの対応となります。また、サイトによっては下記の条件を満たしていても対象外になることがあります。

  • セブンイレブン店舗で返品をした場合
  • 返金金額の合計が2万円以内の場合
  • 商品受け取り時に店頭で現金またはnanaco電子マネーで支払った場合

また、「Omni7」で購入した場合、100円(税抜き)で1ポイント付与されるnanacoポイントを貯めることができます。nanacoポイントはnanaco電子マネーに1ポイント1円で換算することができます。そして、さまざまなnanaco電子マネー利用店舗で使用することも可能です。
このように、オムニチャネルのサービスを受けられるということで消費者は買い物が便利になり、価格面でもさまざまなメリットを享受することができるようになるのです。

3-7 “わたしたちはこうして販路を拡げている”オムニチャネル化の事例

ここまではみなさんが知っている大手企業の事例を紹介しましたが、ここからはターゲットを絞っている、もしくは独自の路線で流通網を拡大している企業を紹介していきます。

3-7-1「Ageless Life」の事例

“「Ageless Life」-輝く年齢を、もっと輝かせるための生き方”をコンセプトにしている株式会社DoCLASSE(株式会社ドゥクラッセ)は、40代~50代向けのアパレル商品を展開している会社です。

2007年に創業し、ネット通販をメインに売上を拡大、現在では100億円まで売上を伸ばしてきました。ここまでの成長には、新商品を開発している傍らで販路の拡大がキーポイントになっています。

お客さんがネットで商品を注文する際に、購入の最大の障壁になるのは「試着ができない」といった点です。DoCLASSEはその課題に対して、実店鋪を試験的に導入する、といった施策を行い、それが好評を得たたため、試着ができる店舗を拡大していきました。

拡大した店舗では、洋服だけではなく、オリジナルの外反母趾に特化した「fitfit」という靴ブランドも展開し、外反母趾に悩んでいる顧客も取り込むことに成功しています。

実店舗は、DoCLASSEが12店舗あり、fitfitが14店舗と全国に展開をしている。売上構成としては 、カタログ、ECサイト、実店舗と3番めに甘んじてはいるが、実際に試着できるメリットが多いため、今後も店舗拡大を進めていく方針です。

また、この戦略で重要なのは、チャネルを拡大するだけではなく、コールセンターの対応がポイントになっています。

親友だったらどう接する?-相手と同じ目線で悩みをきく

コールセンターの対応スタッフは、カスタマーと同じ、40代~50代の同年代の女性スタッフが対応しています。また、顧客対応マニュアルはなく「親友だったらどう対応するか?」といった基準に問い合わせに対応するため、カスタマーも自然と親近感がわき、結果的にサービスの品質向上につながっています。

カタログ、ECサイト、実店舗とチャネル拡大だけではなく、サポート体制を顧客と同じ目線で対応していることも、DoCLASSEの成長している要因のひとつではないでしょうか。

3-7-2 「TMIX」の事例

続いて紹介するのは、2007年に創業したスパイスライフが運営する「TMIX」です。このサービスは、600種類以上のデザインと60種類のフォントからオリジナルTシャツが作成できるECサイトです。

運営をして今年で7年を迎えるサービスですが、このサイトもオムニチャネル戦略を活用して、販路を拡大し、売上を伸ばしたサービスです。

TIMXは2015年3月、実際に手にとって商品を確認できるショールームをオープンさせました。オープン理由は、お客様の「サイズ感や生地感を知りたい」といった理由で、DoCLASSEと同じ理由でしたが、実はもう一つ別な理由があります。

それは、担当者がニューヨークに視察へ行ったことがきっかけでした。そこでは、アメリカのEC企業がどういった取り組みをして、顧客との関係性を築いているかを知る良い機会になったそうです。

ニューヨークでECサービスをして成功している企業のほとんどがリアル店舗での販売をしており、その店舗は顧客満足度を高めるキャンペーンを開催していたのです。その視察を通して、「私達も同じように実店舗を運営しないと!」と思い、帰国早々に動き始めました。

当初の構想では、2015年7月にリアル店舗をオープン予定でしたが「それでは遅いし、スモールスタートからのほうがよい」といったアドバイスもあり、自社のオフィスの一角をショールームとしてオープンさせました。“スモールに素早くスタートする”といった意識はオムニチャネル戦略を進める上では重要なポイントかもしれません。

4. オムニチャネルにより、埋まりつつある実店舗とオンラインストアの軋轢

実店舗とオンラインストアの軋轢

インターネットが普及していくにつれ、マルチチャネルの時代になってきつつあります。それが顕著に表れているのは、オンラインストアの台頭です。ですが、実店舗とオンラインストアの統合は、なかなか進むことがありませんでした。そのため、実店舗では、オンラインでの買い物が一般的になるにつれ、オンラインストアに顧客を奪われてしまったと考え、オンラインストアを快く思わないところが数多く存在しています。

4-1 オムニチャネルが必要とされている理由とは?

実店舗とオンラインストアの軋轢はありますが、現在、実店舗とオンラインストアを繋ぐオムニチャネルは必要とされ始めているので、そういった軋轢は消えつつあります。
これにはいくつかの理由が存在しています。

  • オンラインストアの売上が大きく、市場として確立され、無視することができない。
  • 商品を購入しやすいオンラインストアの普及により、実店舗が売上を競うことが無意味になりつつある。
  • 消費者のニーズに合わせ、より購入しやすい場所に誘導することにより、ブランドの全体のサービスレベルを向上させ、他社よりも優位な立ち位置の確立が可能となる。
  • スマートフォンやFacebookやTwitterなどのソーシャルメディアの普及により、消費行動が大きく変化している。

これらの背景には、少子化や景気の低迷などによる日本の内需の縮小が影響していると言えます。

また、どんな場所にいても、欲しい時に場所を選ばず、スマートフォンで商品を購入する消費者が存在していることも少なからず影響しています。

そういった消費者行動には、広告や実店舗で商品を検討するのではなく、第三者の口コミを参考にしていることが背景にあります。

4-2 オムニチャネル化を進めた実店舗の悩みとは?

スマートフォンやパソコンなどインターネットの普及により、変化した消費者行動の1つとして、「ショールーミング」と呼ばれる顧客行動があります。「ショールーミング」は実店舗に来店したお客様が実店舗で商品を確認し、販売員に説明を聞いて商品知識を得ても、実店舗では商品の購入をせず、オンラインストアで商品を購入するというものです。

これはインターネットの普及による新しい消費行動と言えます。このように、オムニチャネル化をブランドが進めるより早く、消費者はひとつのチャネルだけで購買活動を完結させずに、いくつかのチャネルの利点を判断し、使い分けているのです。

さまざまチャネルが存在している現在、オンラインストアで購買されやすい商品、実店舗で購入されやすい商品など、商品別にチャネルを使い分けることが必要となってきているのです。ですが、それだけでは他社との競争には勝つことができません。

ですから、そこに世代を掛け合わせるなど、さまざまな工夫を施し、オムニチャネルを進め、消費者の購買行動を自社ブランドで完結させることができるよう、チャネルを連携させていく必要があると考えられています。

5. オムニチャネルと混同されやすいO2Oとは?

オムニチャネルと混同されやすいO2Oとは?

オムニチャネルとは『1―3 「オムニチャネル」の特徴とは?』でも述べたように、あらゆる販売経路から同じように商品を購入できるシステムのことを言います。

それに対し、O2Oとは、オンラインとオフライン(実店舗など、インターネットを介していないもの)を繋げて、オンラインで行われていることが、実店舗などでの購買に影響を及ぼすことを狙うことを言います。

たとえば、下記のようなことがこれに該当します。

  • オンラインでの消費者にクーポンやポイントを付与し、店舗に足を運び、購入を促すこと。
  • 会員証やDMをスマホアプリに集約し、消費者に対するサービスの充実を図ること。
  • 消費者の動向を分析すること。

このように、オムニチャネルはオンラインとオフラインを統合し、消費者とブランドの両方にメリットをもたらすことを目的としているのに対し、O2Oはブランド側のメリットをメインに考えられているという明確な違いがあるのです。

6.めざましい進歩が期待される「オムニチャネル」

めざましい進歩が期待される「オムニチャネル」

「オムニチャネル」とはアメリカから始まったサービスではありますが、日本にも少しずつ浸透しはじめ、消費者の購買活動を豊かにしてくれるものであることだと、わかっていただけたのではないでしょうか。

実店舗だけの買い物では不便を感じ、かと言って、オンラインストアでの買い物にも不便を感じてしまうことは多々あったことでしょう。しかし、オムニチャネル化が進むにつれ、実店舗で感じていた不便さもオンラインストアで感じていた不便さも解消されつつあるのです。

日本においても、初めて実施されたアメリカでさえ、オムニチャネル化は完璧ではなく、発展途上のサービスです。ですが、今後、オムニチャネルはめざましい進歩を伴い、私たちの生活をより便利で豊かにしてくれることでしょう。

by大野 晴司
経営コンサルタント創業7年。中小企業診断士として、業種・業界・規模を問わず、多数の企業の経営戦略に携わる。自動車業界での実務経験に基づいたマーケティング戦略の立案・導入が最大の強み。


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