• 連載
  • 2015-11-24

Monthly pageview: 5

デジタルマーケティング・アメリカ通信


【第1回】ECサイトにおける顧客価値最適化(CVO)戦略とは

拡大を続けるEC市場…… 国内B to C-EC 市場規模は12.8兆円に

経済産業省が今年発表したニュース・リリースによると、2014年における国内B to C-EC 市場規模は12.8兆円に成長しており、これは2013年の11.2兆円に対し14.6%増となっています。今後もこの市場拡大は続き、2018年には20兆円規模になると予測されています。

日本の経済成長率は1.6%程度ですが、それに比べてもEC市場の成長率は格段に大きく、成長を目指すビジネス・オーナーにとって取り組まない理由はないと言ってよいでしょう。

経済産業省「平成25年度我が国経済社会の情報化・サービス化に係る基盤整備(電子商取引に関する市場調査)」より

ECサイトでは、発信するコンテンツいかんで日本全国にビジネスを展開することができます。そればかりか、インターネットで最大の利用者数を有する英語圏の市場や、「爆買い」で知られる中国語圏の市場に、「越境EC」というかたちでアプローチしていくことも可能になります。

ECビジネスに参入することは、企業規模の大小を問わず、大きな市場にアクセスできる機会を拡大させ、その市場において優位なポジションを築いていくことへとつながるのです。

そもそも「CVO」とは? ――もはや「CVO」なしでは生き残れない!?

最も効率よくビジネスの目的を遂げるための手法「CVO」

ECを行う場合に、真っ先に取り組むべきこととして、何を挙げることができるでしょうか?

「わざわざ聞くということは、何か特別なことがあるのかな?」と思われるかもしれませんが、ここは少し単純に考えてみてください。

オンラインでもオフラインでも、ビジネスにおける究極のゴールは「できるだけ少ないコストで、できるだけ多くの顧客を獲得し、最大限の利益を得ること」だと言えます。

「顧客価値最適化」いわゆるCVOは、この目的を最も効率よく達成できる手法と言えるでしょう。

国内市場での生き残りのカギとなるCVO

CVOは、マーケティング先進国であるアメリカで、近年急速に発達してきました。「セールス・ファネルのデザイン」、もしくは「マーケティング・ファネルのデザイン」などとも呼ばれています。

アメリカでは、マーケティング・ファネルの構築に対する意識が非常に高く、小規模の事業者であっても、この部分を意識したビジネスが展開されています。

日本においても、今後は、高度に練り上げられたマーケティング・ファネルに則って(=高度にCVOをおこなって)展開できる事業者でなければ、生き残っていくことが難しくなるでしょう。

というのも、越境ECが盛んになった現在では、今まで国内市場だけを相手としてきた事業者にとっても、海外のECサイトと競合にならざるを得ないケースが増えてきたからです。

この状況下では、進出する側も、迎え撃つ側も、それなりの準備をしておかなければ、いくら商品やサービスが良くても、消費者にとどかずに終わってしまいかねません。

最適化されたマーケティング・ファネルを構築することは、国内市場でビジネスを拡大していく場合においても、海外で展開していきたい場合においても、必須の条件となりつつあります。

アメリカでの度重なるテストを経て練り上げられた、CVOの手法を早い段階で取り入れ、よりブラッシュアップしていくことが、先んじた戦略につながります。

ECサイトにおけるCVO戦略 ――マーケティング・ファネルを構築せよ!!

ECサイトにおけるCVO(=ファネルの構築・デザイン)は、閲覧者のスマートフォンやPCのディスプレイに表示されるコンテンツが、どんなテンプレートに基づいているか、ということによって決定づけられます。

このテンプレートには、テキスト、動画、画像、音楽など、あらゆるコンテンツが含まれ、これらをうまく活用して、マーケティング・ファネルを構築していくのです。

ここで、私がアメリカでもトップクラスのマーケティング企業であるDigital Marketer(デジタル・マーケター)社から学んだ、マーケティング・ファネルの構築手法について紹介しましょう。

因みに、Digital Marketer社のCEOは、日本でも知っている人が多いかもしれない、インターネット界のグルと呼ばれるライアン・ダイス氏です。

Digital Marketer社に学ぶ顧客価値最適化(CVO)のための4要素

顧客価値最適化(CVO)のためのマーケティング・ファネル構築は大きく分けて以下の4つの要素からなりたちます。

1. いかに多くの見込み客を集めるか

これはDigital MarketerではLead Magnet(リード・マグネット)と呼ばれています。一般的に言われるトラフィック(集客)のための手法ではなく、トラフィックの後にある、メールアドレス獲得をKPIとします。

つまりお客様がメールアドレスと交換して手に入れたい何か(コンテンツや商品、サービスなど)をどのように用意するか、ということです。

2. いかに多くの顧客を獲得するか

ここで使用されるのは、顧客獲得のための商品です。ユニークなのは、この段階では利益について考慮しません。

むしろ広告費などで、必要な費用をカバーできればよいとされています(利益獲得のためではなく、顧客獲得のためだからです)。そのため、ここには安価で購入しやすい商品を配置します。

利益には直結しませんが、Digital Marketer社では、ファネルの構成要素の中で、この部分を最重要としています。

なぜなら、マーケティング・ファネルは人と人とのリレーションシップに基づいて構成されるものだからです。

たとえオンラインであっても、一度顧客になった相手は、見込み客の状態のままの相手に比べ、その後の購入行動(=生涯顧客価値)が比較にならないほど活発になるからです。

ライアン・ダイス氏はこれをTrip Wire(トリップ・ワイヤー)と呼んでいます。聞きなれない言葉だと思いますが、辞書で調べてみると、元々は軍事用語のようです。「比較的小規模で前線に展開する部隊で、その後の大規模な作戦を引き起こすきっかけを作るもの」とあります。

3. いかに利益、マージンを上げるか

ここでは、アップセルやクロスセルといった、よく知られている手法が登場します。また2で紹介したTrip Wirer と連動して売り上げる仕組みを構築できれば、さらに利益を上積みすることが可能です。

この部分のファネルに配置される商品やサービスは、主にフラッグシップであり、メインとされる商品・サービスが多くなります。

Digital Marketer社では、このファネルの部分をCore Offer(コア・オファー)、そしてProfit Maximizers (プロフィット・マキシマイザーズ)と呼んでいます。

4. いかにリターン客を増やすか

ECサイトにおける大部分の売り上げは、初回訪問の人や、購入歴数回程度の顧客ではなく、何度も利用してくれるリターン客によってもたらされます。そのため、リターン率を最適化することは、ECサイトにおける最重要課題であると言えます。

リターン率を上げ購入頻度を増やすための施策として、メール配信やリターゲティング広告などが挙げられます。

マーケティング・ファネルの最適化でCVOを最大に

CVOの要因である「見込み客数」「顧客獲得数」「マージン」「リターン客」をすべて2倍にすることができれば、合計で16倍の成果が見込めます。1項目あたり20%の成長だったとしても、全体で2倍を超える成果が見込める計算になります。

マーケティング・ファネルを正確に最適化することさえできれば、これほどの成果を得ることができるのです。

オポチュニティー・ロス(機会損失)を減らす

マーケティング・ファネルが最適化されていない状態でECサイトの運営を行うことは、オポチュニティー・ロス(機会損失)につながり、本来獲得できたであろう利益を、気付かぬうちに損なってしまう可能性が高まります(これは実にもったいないです)。

このオポチュニティー・ロスを最小限にすることも、CVOの重要なポイントであり、マーケティング・ファネルを設計する際には、心に留めておかねばならない点です。

基本的なCVOの設計方法

  • 1. Core Offerの商品・サービスなどを決める
  • 2. Core Offerよりスプリット(分割)したTrip Wireを作る
  • 3. Trip WireよりスプリットしたLead Magnetを作る

お客様に提示するのは上記の順番とは逆になり、Lead Magnet→Trip Wire→Core Offerの順になるということを、まず押さえてください。

大切なのは、Lead Magnet、Trip Wire、Core Offerの連動性と関係性です。イメージでいうとLead MagnetはTrip Wireの一部分、Trip WireはCore Offerの一部分という構造です。

言い換えればこの3つは「同じ種類のオファー」であるということです。

もう少し分かりやすく説明するため、健康ビジネスを例に解説していきましょう。
Core Offerが「健康に関するアドバイス」と仮定すると、Trip Wireは「すぐに実践できる食事法」「簡単エクササイズ」などの大まかな具体例になります。

さらにTrip Wireである「すぐに実践できる食事法」は、Lead Magnetとなる「野菜スープのレシピ」「ミネラルウオーター」などに枝分かれしていきます。
同様に、Trip Wire「簡単エクササイズ」の下に続くLead Magnetの例として、「1分間ストレッチ法」「散歩にぴったりのシューズ」などを挙げることができます。

この例ように、必ず「同じニーズや欲求に沿って」深堀りしていくように設計していきましょう。

ひとつ注意が必要なのは、このCVO戦略は、獲得したトラフィック(集客)に対して行うと有効な施策であるということです。
トラフィックそのものを得る方法であるコンテンツ・マーケティングについても知っておくと、より幅広いレイヤーからアプローチを行うことができます。

次回は、コンテンツ・マーケティングの活用法について紹介していきましょう。


『顧客経験価値を120%に引き上げる』 顧客コミュニケーションを想定した オウンドメディアの構築法とは

オウンドメディアは顧客との対話を通じて継続的に発展していく特長のあるメディアです。
ダウンロードはこちら(無料)

このデジタルマーケティング・アメリカ通信バックナンバー ─デジタルマーケティング・アメリカ通信記事─

あわせて読みたい ―関連記事―