• 連載
  • 2015-11-09

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マーケティングの現場から


【第2回】データ分析手法を学ぶ(後編) ―データベース・マーケティングの実践方法

マーケティングは学ぶものでも語るものでもなく、日々の企業活動において実践してこそ意味のあるものです。本連載では、コンサルタントとして活動する現場での事例を基に、マーケティングの思考法を紹介していきます。

BtoCにおける顧客データ分析の要

第2回のテーマは、前回に引き続きデータベース・マーケティング。BtoCにおける顧客データの活用方法について、より具体的にご紹介していきましょう。

江戸時代の大店は、火事の際、顧客との取引明細が記された大福帳を井戸に投げ込み避難したといいます。たとえ店舗や商品が燃えてしまっても、顧客データさえあれば復興できると知っていたのですね。

今日では、より手軽に、はるかに高度な顧客データの活用が可能になっています。有難い時代です。

顧客セグメンテーションがポイント ――如何に分類するかがカギとなる

顧客データベースの活用において最も重要なポイントは、顧客のセグメンテーションです。自社のビジネスにとってどれだけ貢献していただいているのかという尺度で基準を設け、顧客を階層分けしていくのです。

基準とする項目は、業種や業態、取扱い品目によって差異はあるものの「購買金額」「直近の購買履歴」の二つが共通の最重要項目であり、「購買数量」「購買頻度」を加えた四つの要素が重視すべき項目となるでしょう。

加えて、必要に応じて「1回当たりの購買金額」「平均購買単価」等の項目を加え、それぞれに基準を設けて○○以上かつ△△以上かつ…… とふるいにかけていきます。

2つの基準によるセグメンテーションの例

目的は、セグメントごとに最適なマーケティングプロモーションを実施して、より上の階層に押し上げていくことです。それによって顧客を育成し、LTV(ライフタイムバリュー)を高めていくことにあります。

また、プロモーション結果の階層別分析により、より精度の高い予測と、コストの削減を可能にします。

ですから、いたずらに細分化することが得策というわけではありません。いくら細分化しても、そこに含まれる顧客数が少なければ手間やコストが膨らむばかりで、何ら得るものはありません。セグメント数は母数となる顧客数に応じて決定すべきです。

ただし、自社への貢献度という尺度で考えることが重要ですので、人数だけで同率に分類するのではなく、上位はより細かく、下の層ほど大枠で分類します。例えば、上位20%は細かい条件で分類し、下位40%は一括りにといった具合です。

セグメント別分析がもたらす効果 ――効果の予測とコスト削減

かつて100万件以上の顧客リストを扱っていた際の事例では、毎回プロモーションを実施する対象は上位20万件のみで、それより下位の階層については、規模に応じて随時プロモーションを追加していく、という施策を用いていました。

判断基準は、目標とする売上や利益の達成です。セグメント別の分析結果の蓄積により、高い精度で予測が可能となります。上位層ほど、精度が高くなるのも特徴です。

下位層には、年に1~2回程度、より上位層にアップさせるための特別なオファーを提供する場合があります。効果は限定的ですが、外部リストを使った場合よりレスポンス率は高く、コストもおさえられます。

的確なセグメンテーションはデータベース・マーケティングの要であり、効率的かつ効果的な戦略の構築を可能にし、計画の精度を飛躍的に高めます。

顧客データベースを活用したセールイベントの事例

実際に、顧客データを活用して高い精度で計画を達成したあるアパレルブランドのセールイベントの事例をご紹介しましょう。

ご存じの通り、アパレルは季節商品ですから、プロパー販売からセールを経て、場合によってはアウトレット店を経由して、最後に招待客を対象としたクローズドセールにて在庫品の最終処分を行います。この最終処分のセールイベントが今回の事例。在庫品をいかに効率よく捌くかがカギです。

2つの武器 ――過去の販売データと顧客データベース

商品部から上がってきた希望販売点数と売上目標金額。手元にあるのは過去の同種イベントにおける販売データ及び顧客データベース。与えられた命題は、最小のコストでの目標をいかにして達成するかです。

まず、過去のセール実績を基に来場者1人当たりの平均購買金額を算出し、目標達成に必要な来場者数を求めます。次に、顧客データベースを使って、必要来場者数を実現するために最も効率の良い案内状の送付リストを作成します。

当然ながら、セグメント上位者はレスポンスが高いのですが、最寄りの店舗での購買と異なり、セール会場への来場誘致が目的ですから、対象エリアを会場からの距離に応じて郵便番号で括っていきました。

こうして、それぞれ異なるレスポンス率の上位者から順に抽出し、最も効率が高いであろう招待者リストを作成したのです。果たして結果はというと、案内DMのレスポンス率は予測通り、来場者数、販売数量、売上金額いずれも目標を少し上回りました。

実はこの少し上回った数字は、安全策として案内DMの発送数を上乗せした分に相当しており、実際には完全に計画通りの結果だったのです。

データベースさえあれば、工夫次第でいかようにも活用できます。この事例においても、実際に作成したリストは、ホストコンピュータから抽出した顧客データをExcelで加工したものでした。

データベース・マーケティングに必要なのは、データの蓄積と活用の工夫です。この日のデータが追加され、精度は一層高まることになるのです。データベースはまた、活用によって進化するのです。

データ活用の奥義を手軽に

ここまでデータベース・マーケティングにおけるセグメンテーションの重要性を説明してきましたが、実際に自社でやってみるとなかなか難しいものです。自社に相応しい人材がいなければ、専門のコンサルタントに相談するか、あるいは経験者を雇用するか。

それらが難しければ、第三の選択肢として挙げられる「アウトソーシング」をご紹介しましょう。

ECマーケティングに必要な全てが揃う ――現場ニーズから生まれた『CRM-SegMa』*

前号において、供給サイド主導のお仕着せ機能は実用的でないものが多いと指摘しましたが、その逆を行くのがこのサービス『CRM-SegMa』です。

それもそのはず、このシステムを開発したのは、もともと世界最大級の通販企業グループの日本法人においてマーケティングを担当し、コールセンター長も務めた第一人者なのですから。

現状の自社システムから抽出したデータを独自のアルゴリズムにより解析し、最大6分類21種類にセグメントします。最も熟練を要するセグメンテーションを、顧客の購買力という尺度で自動分類することができ、しかもその精度が圧倒的に高いのです。

週次、月次、半期ごとに出力される分析レポートは、通販事業を行う上で必要にして十分な内容となっており、一つひとつが次のマーケティング戦略に直結します。

いわば、大手通販会社が巨額の費用をかけて構築するシステムを、アウトソーシングで安価に利用できるのです。

さらに、半期ごとのレポート出力時には、業界トップレベルのマーケッターによるアドバイスが受けられるのですから、売上高100億円以下の通販事業者にとっては願ってもないサービスだと思います。

広がる可能性 ――実店舗販売、そしてオムニチャネルへ

このように、通販事業を対象に開発された『CRM-SegMa』ですが、その卓越した顧客セグメンテーションシステムと秀逸なレポーティング機能は、通販のみならず、実店舗販売にも生かせるのではないかと考え、実際にクライアント企業に導入してみました。

基礎データはPOSと顧客管理システムのデータを併せて活用しました。運用方法や項目の絞り込みなど、いくつかのカスタマイズは必要だったものの、その部分を補いながらテスト導入したところ、結果は上々。まさにマーケティング戦略を構築する上で必要な情報が次々に出力されてきました。

複数店舗を展開する小売チェーン店では、確実に効果を発揮するシステムといえましょう。さらに、ネットやモバイルも含めた、いわゆるオムニチャネル展開における可能性は、一層大きなものとなるでしょう。ぜひ、近々試してみたいと思っています。

*『CRM-SegMa』
トリノリンクス社が提供する顧客セグメンテーション及びデータ分析サービス
http://www.trino-links.co.jp/Dataservice.html


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