• O2O
  • 2015-11-04

Monthly pageview: 76


美容業界でイニシアティブを握るホットペッパービューティーのO2O戦略

ホットペッパービューティー 成功の歴史を振り返る

ホットペッパービューティーは、美容院・エステサロン・ネイルサロンなどの集客において、パイオニアとしての地位を築いています。数ある競合サービスの追随をまったくゆるさず、2013年の段階で個人会員数約166万人にまで成長しました。登録されている美容院・エステティックサロン・ネイルサロンなどの数は4万件を超えています。

2014年度には、オンラインからの予約者数がのべ3,000万人を突破しました。これは、2013年度比で約2倍の伸び率です。最近ではテレビCMにも注力し、さらなる会員獲得も狙っているようで、登録店舗数は今も増加しています。

もともと、ホットペッパービューティーは一部地域限定のフリーペーパーとして始まったものでした。ウェブサイト版がローンチされたのは2007年4月、フリーペーパーの発行から5年後のことです。

今では美容院の経営支援スクールの運営なども行い、単なる検索・予約プラットフォームとしてのみならず、美容総合メディアとしても進化を遂げています。

美容業界のビジネスモデルとは?

そもそも美容業界というのは、リピーターによって収益が成り立つビジネスモデルです。爪も髪も自然に伸びるものなので、顧客のニーズを満たすことさえできていれば、定期的な来店を見込むことができます。

そのため多くの店舗は、初回来店では採算度外視でサービスを提供し、自店に定着してくれるようさまざまなアプローチをしかけます。美容業界におけるリピーターの重要性は、飲食業界などの他業界とは比較にならないほど大きいのです。

心理学的にもリピーター化しやすい美容業界の顧客

美容業界でリピーターが重要視される要因には、人間心理に基づくものもありあす。例えば、人間心理の特性である「変化を嫌う」というものは、行きつけの店舗を変えることに対する高いハードルとなり得ます。

また、一緒に過ごす時間の長さよりもどの程度頻繁に顔を合わせるかということの方が、人と人との距離を縮めるのに作用するという「ザイオンス効果(単純接触効果)」も、客がリピーター化されやすい一因であると言えます。

競争が激化する美容業界の現状

そんな美容業界は今、競争激化の一途をたどっています。全国的な店舗数は増え続けており、ユーザーにとっては完全に買い手市場の状態になっています。

そのせいか、例えば美容室においては、全国で約6割が赤字におちいっていると言われています。大半の美容師は将来的な独立を目標にキャリアを考えるため、ある程度経験を積んだ後は、資金面の問題さえクリアできれば勤務する美容室を辞めて続々と開業していくのです。

美容業界では、客は店舗ではなく人に付くと言われます。そのため、例えばある美容室に勤務していた美容師が近辺で独立・開業したりすると、顧客を丸ごと連れていってしまうケースが散見されます。

こうした現象がやむことなく起きているため、美容業界の顧客争奪競争は必然的に激化してしまうのです。今や、需要の5倍もの美容室が営業を行っているとされており、当然立ち行かなくなる店舗も多く、閉店数は新規出店数とほぼ同数にのぼります。

どの店舗も生き残りをかけて、独自性を打ち出すためにさまざまな工夫をしています。

美容業界で生き残るために求められること

厳しい市場環境の中で生き残るために、各店舗には本格的な集客の技術が求められるようになりました。

考えてみてください。例えば受賞経験もあるような、技術レベルの高いネイリストが近所に開業したとして、集客のための施策をまったく打たなかった場合どうなるでしょうか。

これは美容業界に限ったことではないですが、せっかく技術やサービスの質が高くても、新しく市場に参入していくという場合においては、きちんとした集客の施策を打たなければ客は集まらないのです。

しかしもともと美容業界では、個人事業や中小企業として店舗を出している場合が圧倒的に多く、マーケティングなどの専門的なノウハウを持つ経営者はごくわずかでした。具体的な施策としても、新聞折り込みや地域雑誌、ウェブサイト、DM、紹介カードの配布などに限られていました。

効率的なO2O集客を実現するホットペッパービューティー

そんな美容業界において、ホットペッパービューティーは強力なO2O集客ツールとして登場しました。店舗側からすれば、新規顧客獲得のためのマーケティング施策を打とうと余計なリソースを割かなくても、ユーザーが勝手に店舗に対する評価をつけてくれるので、技術やサービスの向上だけに集中すれば、自動的に新規顧客を獲得できるようになったのです。

その結果、流行っている店舗とそうでない店舗の格差が拡大するという現象も起きています。高評価を得ている店舗が次々と新規顧客を増やしている反面、技術やサービスが顧客の求めるレベルに届かない店舗からは、あっという間に客が離れていくからです。

予約管理システムの提供で“インフラ化”

近年では美容業界においても、ほとんどの店舗で顧客管理システムが導入されるようになりました。

その一方で、予約管理システムについては、いまだ構築できていない店舗が大半です。予約管理システムは導入するのに数十万円の投資が必要となるからです。

ホットペッパービューティーは、サービスを利用している店舗に対し、ホットペッパービューティー上で運営される予約管理システムも提供しています。このサービスを利用してもらうことで、各店舗をプラットフォーム上に囲い込むことに成功しました。

今では、たとえホットペッパービューティーを経由せず直接電話予約が入ったとしても、店舗側はホットペッパービューティーの予約管理システムに予約情報を入力し直している状態です。

今まで予約管理システムを導入したくてもできなかった店舗にとって、ホットペッパービューティーはもはや無くてはならない“インフラ”となっています。ほとんどの店舗がこのインフラの利用を前提に経営戦略を描いているため、切っても切れない関係にあると言っていいでしょう。

「誰が何を求めているか」が鍵となるO2O

O2Oによる集客には大きな可能性が秘められており、このホットペッパービューティーの成功例は、まさにそれを上手く活用した結果です。とはいえただ単に、O2O施策を用いて送客するというだけなら、誰にでもできてしまいます。大切なのは、「その施策を求めている主体がどこにいるのか」「より具体的に何を求めているのか」ということを明確にリサーチしたうえで展開していくことです。

ホットペッパービューティーは、この部分を確実に押さえていました。だからこそ、「プラットフォームとしてのホットペッパービューティー」「登録している店舗」「ユーザー」の三者がともにウィンウィンの関係を築くことができ、継続的にビジネスを伸ばしていくことができているのです。

最初からプロダクトアウトの思考でビジネスを組み立てていたら、このビジネスモデルができあがることはなかったでしょう。

近年は新しいマーケティング用語がどんどん生まれていますが、根本はすべて同じなのです。見込み客のニーズを知り、見込み客との関係を深め、見込み客が抱える悩みを解消するための提案をするだけです。

新しい情報に右往左往すること無く、原理原則に則ってO2O施策を展開していけば、新たなニーズを獲得することが可能なのです。


『目から鱗の顧客ロイヤリティの可視化』 分析結果の効果的な整理法とは

顧客ロイヤリティを可視化する際は、多面的な切り口からの基本分析の結果を取りまとめるスキームが必要になります。
ダウンロードはこちら(無料)

この事例バックナンバー ─事例記事─

あわせて読みたい ―関連記事―