オンラインとオフラインのデータ分析で一歩先を行け

現在、私たちは24時間365日、いつでも買い物ができます。オフラインからオンラインにわたるいくつものチャネルで製品を見つけ、購入できるからです。さまざまなブランドについても、ソーシャルメディア上で見て、買い物のヒントを得ることができます。
モバイル機器からの買い物は増加の一途をたどっており、オンラインショッピングの売り上げを伸ばしていくことは多くの小売業者にとって重要なのは言うまでもありません。その一方で、2025年にアメリカの小売売上高の約85%は実店舗が占めるだろうという予測があるのです。
小売業者は、自らのビジネスモデルの見直しを始めており、最新技術に投資して実店舗での顧客体験を再開発しようと試みています。例えば、タッチスクリーンを活用したディスプレイや、バーチャル試着室などといったものがありますが、そういった新技術は消費者と製品のかかわり方を変えていく可能性があります。
顧客ロイヤリティを獲得し、維持するためには、小売業者は製品より顧客との関係に意識を集中させ、ビッグデータを活用していく必要があります。そして、そのために役立つのが新しいマーケティング技術なのです。
消費者のオンライン行動をつかめ
昨年行われた、消費者を対象とした調査によると、「インタレスト」「ウォンツ」「ニーズ」に焦点を合わせた商品の提案があれば、もう一度同じ小売業者から購入する可能性が高いという回答が78%に上りました。今より良いショッピング体験ができるのなら、購入量を25%くらいアップさせてもいいと回答した消費者も86%いました。
少し古い調査になりますが、2012年の同様の調査では、企業が消費者のオンラインでの行動を追跡するのをやめてほしいという回答が36%もある一方で、その倍近くの64%の回答者が、企業が適切なオファーを提供してくれることの方がより重要だと回答しています。
今日の顧客は、オンラインで検索してから実店舗で製品を購入するのが一般的です。小売業者はこうした行動の傾向を知っているので、オンラインを利用して新しいブランドや製品に対する消費者の関心を確かめてから、店の棚に並べるといった対処をしています。
このように、消費者のオンラインでの行動傾向をスピーディかつ正確に把握し、技術に投資することで、実店舗での販売を有利に展開することが可能となるのです。
将来、消費者が購入を決定するスピードはさらに速くなると予想されているので、小売業者は、より早く潜在顧客に購入したいと思ってもらえるよう、効果的な方法を見つける必要があります。
オンライン行動のデータをどう活かすか
競争相手より一足先にマーケットシェアを上げるためには、小売業者は顧客データ活用のために投資をする必要があります。このデータを使って、ターゲットを絞ったリアルタイムのマーケティングを展開し、顧客ニーズに合ったオファーを提供することで、価格や製品デザインを効果的なものにするのです。
これからの課題
これまでは、データを収集し、統合し、分析することは、小売業者にとってそれほど重要だとは思われていませんでした。しかし、それでは実際に購入した人がどんな人であるか理解したり、ハイエンドの製品を購入する消費者のセグメントを識別したりすることはできません。
これからは、ここで紹介したような形でデータを活用し、オンラインとオフラインのショッピング体験を変革することが重要になってくると言えるでしょう。
データは販売促進に活用できるだけではありません。データから顧客の関心の変化を予測し、最適な物流ルートと在庫レベルを管理することで、商品の需給を調整したり、最適な品質を確保したりすることが必要なのです。そうした努力をすることによって、はじめて総合的な顧客体験を向上させることが可能になります。それこそが、これからの小売業者に課せられた課題なのです。