• データマーケティング
  • 2015-08-11

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重回帰分析―複数の変数で予測する―

回帰分析は,複数の変数間に影響関係を想定し,その関係を定量的に把握して予測や説明を行うための手法である。予測変数が1つのときは単回帰分析と呼ばれ,複数あるときは重回帰分析と呼ばれる。
本記事では,家賃に関するデータを例に,重回帰分析について解説する。

重回帰分析

ある地域の賃貸マンションの家賃と専有面積と築年数を調べ(30件),収集したデータに関して変数間の散布図を描いたグラフを図1に示す(注1)。図1のように複数の変数間の散布図を同時に表すグラフは多変量散布図と呼ばれる。多変量散布図の対角要素(A列1行, B列2行, C列3行)にはヒストグラムが,対角線上より下の部分には変数間の散布図が,対角線より上の部分には変数間の相関係数が示されている。例えば,グラフのB列3行(B3要素)には築年数と家賃の散布図が示され,C列2行にはその相関係数が表示される。

図1より,面積と家賃には中程度の正の相関関係があり(相関係数は0.72),築年数と家賃にはで中程度の負の相関がある(相関係数は-0.58)ことが分かる。面積が広くなれば家賃が高くなり,古い建物ほど家賃が低くなる傾向にあることが分かる。そこで,重回帰分析を利用して,面積と築年数から家賃を予測してみる。本例では,予測変数を「面積(x_1)」と「築年数(x_2)」,基準変数を「家賃(y)」とする。
重回帰分析では,2つの予測変数と基準変数の影響関係を以下の式で表現する。
家賃=切片+偏回帰係数1×面積+偏回帰係数2×築年数+誤差
y=α+β_1×x_1+β_2×x_2+e (一般的な表現)
この式は,重回帰モデルと呼ばれ,イコールの左側に基準変数y(家賃)が,右側に複数の予測変数x_1(面積)とx_2(築年数)が配される。単回帰分析とは異なり,予測変数からの基準変数への影響度合いは,偏回帰係数と呼ばれ,それぞれの変数に対応してβ_1,β_2と表される。切片は複数の予測変数の値が0のときの基準変数の値を表す。また,予測変数では説明のつかない部分を誤差によって表現している。

単回帰分析と同様に,切片と偏回帰係数を求めることが分析の目的であり,算出された値を利用して,基準変数の値を予測することが出来る。
家賃の予測値=切片+偏回帰係数1×面積+偏回帰係数2×築年数
y ̂ =α+β_1×x_1+β_2×x_2 (一般的な表現)
この式は重回帰式と呼ばれる。家賃データを分析すると切片と偏回帰係数の値は,α=40583.7,β_1=1209.5,β_2=-584.7であるため,重回帰式を求めると次式のようになる。
家賃の予測値=40583.7+1209.5×面積-584.7×築年数
y ̂ =40583.7+1209.5×x_1-584.7×x_2 (一般的な表現)
重回帰分析では,偏回帰係数の解釈が非常に重要となる。偏回帰係数β_1は,他方の予測変数x_2の値を一定にしたという条件のもとで,予測変数x_1が1単位変化したときの基準変数の平均的な変化と解釈される。つまり,築年数が一定であれば,面積が1平米広くなると家賃が平均的に1209円高くなると解釈する。同様に,偏回帰係数β_2は,他方の予測変数x_1の値を一定にしたという条件のもとで,予測変数x_2が1単位変化したときの基準変数の平均的な変化である。面積が一定であれば,築年数が1年増えると家賃が平均的に584円低くなることが分かる。
面積と築年数の具体的な値によって家賃を予測してみる。面積が20平米,築年数が10年の物件の家賃の予測値は,重回帰式を利用して,以下のように計算できる。
家賃の予測値=40583.7+1209.5×20-584.7×10=58926.7
以上のように,重回帰分析では複数の変数を利用して変数の予測や説明を行うことが可能となる。今回の例では,予測変数の数が2つの場合について説明したが,予測変数の数をさらに増やすことができる。変数を増やすことで予測の精度を高めることができるため,基準変数に関係がありそうな変数を複数個用意することが重要となる。

(注1)ここで利用する家賃データは架空データである。表1に分析に利用したデータを示す。
(注2)ただし,個々の偏回帰係数を解釈することを目的とする場合には,予測変数の数は2つまでにとどめておくことが望ましい(豊田,1998)。

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